会津くるみの特徴
貴重な純国産クルミ
近年スーパーフードとして消費ニーズが拡大しているクルミは、国内の流通量の95%は輸入品であり、海外の品種です。残り5%の国産クルミも、ほとんどが外来種から品種改良されたシナノグルミという品種になります。
これに対し、鬼グルミは日本固有の古来種で、市場流通は1%以下。幻ともいえる貴重なクルミなのです。これまで、栽培の難しさから収穫量が安定しにくいこと、殻が硬く加工時にロスが生じやすいことから、会津以外の地域ではほとんど生産加工されてきませんでした。
栄養価が高くフルーツのような香りが特徴
会津の山里に実る鬼グルミは、健康づくりに欠かせない必須脂肪酸であるオメガ脂肪酸(3系・6系)の含有率が極めて高い品種です。 また、一般に流通している洋クルミより渋味や苦味が少なく、フルーツのような良い香りを持つのも特徴です。福島大学 吉永和明准教授の分析によりますと、洋くるみと比較して糖質と油分が控えめ、タンニン(渋み・苦味成分)が少ない一方バニリンという甘い香り成分を含み 後味までしっかりと甘みと旨味を楽しむことができます。
会津くるみを取り巻く環境
大昔から 主食の一つだった
福島県南相馬の鷺内(さぎうち)遺跡において、約3000年前の縄文時代晩期のものと思われる鬼くるみが200個ほど詰まった籠が発掘されました。大量に見つかったことからオニグルミが当時の主食の一つだった考えられます。
会津はくるみの里
鬼くるみ・姫くるみは日本独自の在来品種。全国各地の山に自生しますが、特に寒冷地で湿気が多い川沿いや河川敷で大きくおいしく育ちます。会津盆地は四方山に囲まれた豊かな土地で、おいしい木の実の宝庫でした。会津では、食べたり、油をしぼったり、殻を燃料にしたりなどくるみを余すことなく活用してきました。
会津くるみの歴史
地くるみを割りムキクルミにする産業は会津地方全域で発展し、江戸時代には献上品としても選ばれました。会津くるみの質の良さを物語る資料として、江戸時代の番付表「会津五副対」があります。会津藩下の五大名産として、そばや氷餅などとともに「ムキクルミ」が名を連ねています。このムキクルミの伝統技法は、他の産地ではまねのできない会津ならではの手わざでした。
昭和30年ごろの全盛期には、むきくるみ屋さんの数は会津地方全般で30軒以上、会津若松市内でも10軒以上あったそうです。
担い手不足・技術継承の危機
中身を傷つけずに殻を割る「鬼クルミの殻割製法」は会津独自の技術です。恵まれた気候条件と、この独自の技術が会津のクルミ産業を支えてきました。
しかし近年、担い手の後継者不足が深刻化していいます。高齢化による採り子(自生するクルミを収穫する人)の減少に加え、「鬼クルミの殻割製法」を継承するクルミ屋は会津に1軒が残るのみとなっています。
会津の貴重な地域資源が失われてしまう前に、この伝統を次の世代へ継承するための活動が必要になっています。